◎勝手に検証◎日本は、妊婦にやさしい国?それとも厳しい国?~出産編~

はじめに

先月香港で第二子を出産しました。第一子は、東京で妊娠出産だったのですが、第二子は、ニューヨークで妊娠、妊娠後期に日本に一時帰国、そして香港で出産。はじめての海外妊娠&海外出産で各都市の大きな違いを肌で感じました。

前回に引き続き、三都市での自分自身の経験を比較して、日本は、妊婦に「やさしい」国か、「厳しい」国か、独断と偏見で勝手に検証していきたいと思います。今回は出産編

(※といいつつ、実は、NYでは出産をしていないので、この点は友人やママ友より聞いた&調べた範囲での情報です。ご容赦ください。。。)

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出産も千差万別

前回、妊婦健診編で記載したとおり、妊婦健診は、世界に名だたる大都市、ニューヨーク、東京、香港、で、三都市三様でびっくりしました。が、出産に関しては、日本vs.香港/NYで大きな違いがあることは事前に認識していました。それは、無痛分娩が主流かどうか&入院日数が全然違う、ということ。

しかし、実は違いは、そこだけにとどまらず!特に実際に体験した、香港と日本を比べると、似ているようで似ていないところが多数あり、これまたびっくりの連続でした。今回は、①出産方法、②入院、そして③費用の観点から各都市の出産を比較していきたいと思います!

さて、まずは出産方法から。出産方法については、妊婦にやさしいかどうかという単純な枠組みで括るのにはふさわしくないかと思いますが、せっかくの体験なので、わたしの強い興味の対象である、無痛分娩を中心に三都市の違いをご紹介できればと思います♪

その1)出産方法(無痛分娩と帝王切開)

日本

わたしの理解では、日本の出産は、経膣分娩の場合、麻酔を使わないのが主流。そして原則、医療的に必要と判断される場合のみ、帝王切開。

無痛分娩は、最近とりあつかう病院が増えてきたといわれていますが、それでもまだまだ少ないとききます。日本産科麻酔学会のウェブサイトによると、2008年調査で、全国で約2800ある分娩施設の中、母親の希望で硬膜外無痛分娩を行う施設は約250程度らしいです。さらにいえば、無痛分娩を行う施設の中でも、24時間無痛分娩に対応できる病院は少なく、無痛分娩を希望する場合は、計画分娩になることも多いようです。

6年前は、今よりも、無痛分娩に対応している病院は少なく、私が娘を出産した病院も、無痛分娩に対応していませんでした(今では6年前に娘を出産した病院も無痛分娩対応をしているらしい)。当時アメリカから帰国したばかりのパートナーからは、強く強く無痛分娩を薦められましたが、一回くらいは、「鼻から西瓜を入れるくらいの痛さ」と小学生のときに同級生からきいて衝撃をうけた痛みを体験してみようという怖いものみたさ&そしてよく考えればその根拠が非常に薄弱な「自然分娩ができるなら自然分娩とすべし」という無駄な固定観念に縛られて、半ば意固地になって麻酔を使わない分娩、いわゆる自然分娩を選択しました。

第一子の分娩直後最初に頭をよぎったのが、「次はぜっっっったい無痛で産む」という思い。この思いは、産後1ヶ月全く体力が回復せず、実家100メートル圏内の100均に行くのにすら、1ヶ月たってフラフラになりながらようやくたどり着けたときに、強く実感しました。

第一子出産当時私は25歳。運動を継続的にやってきていたので体力には自信があったのですが、第一子出産後、以前の体力が本当に戻ってきたなと感じたのは、産後1年くらいたってからでした。

(ちなみに、この体力回復に相当な時間を要したという経験を経て、自然分娩が主流であることと、日本の産後休暇や育休が長いこと=女性の職場復帰を遅らせていることって密接に結びついている、と思うに至っています。わたしの勝手な持論ですが。自然分娩を経て産後数週間で職場復帰するなんて、どだい無理な話だと思うのです。この話は、次回~職場編~にて。)

第1子のときの分娩自体に不満があるわけでは全くないのですが、それでも当時の痛みを思い返すと、、、、

「世界では無痛分娩がふつうに行われているのに、なんで、日本では、わざわざ数少ない病院を探し出して、頑張って予約してじゃないとできないんだーーーー。リスクがあるのもわかるけど、世界中で行われている医療行為でリスクが少ないことは実証されているだろうし、だったら、産後の体力回復を考えても次はずぇったい無痛!!!!」というのが、第一子を授かったのち、ひそかに、しかし激しく、心の中で抱いていた思いでした。

というわけで、アメリカで第二子を授かっていることを知ったとき、もう当然のごとく、日本で産むという選択肢は、一瞬たりとも頭をよぎりません。アメリカで産むか、香港で産むかのどちらかしか思いつきませんでした。

それでは、アメリカや香港の実際のところはどうなんでしょう?

アメリカ

少し古いデータですが、アメリカの政府機関であるCenters for Disease Control and Preventionのレポートによると、2008年に無痛分娩の比率は、全国で61%だったようです。

(ちなみに、人種により、その比率が異なっており、白人→黒人(非ヒスパニック)→アジア人→ネイティブハワイアン→ヒスパニック→ネイティブアメリカン/アラスカネイティブの順に無痛分娩の比率は少なくなっています。各人種の経済状況や考え方というのが反映されているように思われ、この点非常に興味深いです。)

アメリカで経膣分娩をした友達や娘の友達のお母さんのうち、無痛分娩ではなかったお母さんは、私の知る限り、たったのひとりだけでした。しかもそのお母さんも第二子のときは無痛分娩を選択していました。無痛分娩でも、原則計画分娩ではなく、基本的に24時間麻酔対応をしてくれるとのことでした。いかに無痛分娩が浸透しているかわかると思います。

なお、麻酔を使わない分娩を希望する場合も、当然できます。

ちなみに、帝王切開も基本的には日本と同じく、必要だと医師が判断した場合のみ行うというのが主流のようです。

それでは香港はどうでしょうか。

香港

-香港の無痛分娩-

香港に行く前は、香港でも、アメリカ同様、「経膣分娩の場合、無痛が主流」と聞いていました。

とにかく、6年間かけて醸成された、陣痛と分娩の痛みへの「恐怖」というか「毛嫌い」から、病院を決めるときも、そこで出産した経験のある方には、必ず、「Epi(硬膜外無痛分娩のこと)できるよね⁉」と確認していたほど。そして、大丈夫と聞いていたからこそ、香港で産むことにしたわたし。

分娩する病院がきまったあとも、妊婦健診のたびに、医師や看護師に、Epiできますよね?と毎回毎回確認し、いざ陣痛が始まって病院にいってからも、「バースプランありますか?」と聞かれ、Epiができるならなんでもいいです、と答え、笑われる始末。

しかーーーーし、あれだけ、再三再四確認したにもかかわらず、、、香港での第二子出産、結果的には、、、Epiなし出産でした。

陣痛の波の合間で息も絶え絶えになりながら、看護師さんと交渉し、そして、パートナーに確認してもらって、判明したのは、今回出産した病院は、無痛分娩も24時間対応できるけれども、そこまで推奨していないようで、無痛分娩をするかどうかは、分娩室に入ってから、無痛分娩をしても問題ないかどうか血液検査をして、その結果問題なければする、ということのようでした。ちなみに血液検査にかかる時間は、2時間。

ぎりぎりまで分娩室の外で待機していたということもあり、分娩室に入ってからは、急激にお産が進み、1時間ちょいで生まれてきた息子。。。血液検査の結果、間に合わず。。。嗚呼。

痛みを緩和するための方法として、廊下にバランスボールが置いてあったり、痛みを緩和するための酸素マスクをつけさせてもらったり、背中にガジェットをつけて痛みの波がくるたびにスイッチを押すと、そのガジェットが震え、その振動で痛みを逃す、といったようなものは提供されたりしたのですが。いや、全然痛いっす。

無痛ができるもんだと期待を膨らませていただけあって、陣痛中は、痛みと怒りで、横にいるパートナーに

「えぴー、えぴー、えぴー」

と繰り返し叫んでいました。半泣きになりながら。。。

というわけで、まとめると、選択肢としては、香港の公立病院では、無痛分娩はできるけど、あまり積極的に利用されておらず、お産が早く進めば、麻酔なしで分娩を遂行するというのがメインストリームのようです。ちなみに、私立の病院では、妊婦が希望すれば、アメリカのように無痛分娩の対応が積極的に行われるらしいです。

では、麻酔なしの分娩自体は、どうだったかというと、、、とてもよかったです。分娩室では音楽を流していただき、看護師さんが何人もついてやさしくサポートしてくださり、また指示も的確で外国人にもわかりやすかったです。部屋には、ドクターもいましたし、痛みでつらかったですが、とても安心感はありました。この点は日本の分娩と比べて全く遜色ありません。

-香港は、占いで帝王切開!?-

ちなみに、香港で驚いたのが、帝王切開が非常に多いということ。風水を重視する香港では、風水で良い日を予約し、その日に帝王切開で産むということが、よく行われているのだそう。インターネットで読んだ記事なので、どこまで信頼できるデータかわかりませんが、香港の帝王切開の率は世界でも突出しているのだとか。

実際に妊婦健診のときも、無痛分娩を希望するかどうかは、こちらから言い出さなければ聞かれませんでしたが、計画分娩を希望するかどうかは、必ず聞かれました。

結果的に、たとえば、辰年のこどもの数がめっちゃ多いだとか、未年より、午年の方が縁起が良いといわれているので、午年の年末は駆け込み出産がめっちゃ多かったとか、そういう記事をいくつか見つけました。出産方法、ところ変われば、を実感した次第です。

その2)産後入院

さて、次に産後入院。

短い入院期間 in アメリカ&香港

アメリカは、2泊で退院というのは、有名な話かと思います。香港も同じです。私立も公立も原則2泊(帝王切開等はもう少し長い)。

ただ、私の場合、出産した時間が午後10時半すぎだったので、3泊泊まれるよ、といわれました。とはいえ、大部屋で落ち着かなかったし、母も日本からヘルプにきてくれていましたし、上の子の様子も気になったし、家に帰らない特段の理由が思いつかなかったので二日でさっさと退院することに。

短い入院期間はどうだったかというと、良しあしかなと思います。

やはり家に帰ると、病院にいるときと違って、やることを見つけてしまうので、体を休める時間は少なくなってしまう気がしまいます。わたしも、母のヘルプがなければ、かなりしんどかったでしょう。

住み込みヘルパーを前提として社会が成り立っている香港では、退院後の家庭運営もまわるのかもしれませんが、香港ほどヘルパーがメジャーではないアメリカで、これは結構きついだろうなあと想像します。その分、産後ヘルパーのサービス等は、日本よりも耳にすることが多く、おそらく、日本よりも充実しているのだとは思うのですが。

また、香港やアメリカでは、退院直後に新生児健診に出かけなければなりません。日本では、入院中にやってくれていた検査を、早期退院をするために、退院後に健診に出向いて受けなければならないのです。これも結構きつかった。

特に我が家の場合、退院直後にこどもが高熱を出し再入院。その際、おっぱいが全然出ていなくて体重が激減し息子の血中のグルコースの値がむちゃくちゃ低くなっていることも判明。日本の場合は、4日-5日入院するので、その間フォローしてもらえたであろうことが、結果的に、退院後に親の判断で救急につれていったりしなくてはならない、ということになりました。

とはいえ、家に帰るとほっとするのも事実。入院中は、「一人でこどもをみなくてはならない」という意識がおもーくのしかかりますし、気分転換にのんびり家族と話すこともままならない一方、家に帰れば、家族もいるし慣れた環境だし他人に気を使わなくてよくなります。わたしには、早期退院システムが結構性に合っていました。これもすべて家族のサポートのおかげであり、家族のサポートを得られない場合を考えると、日本の長期入院制度は、良い制度だなと思います。

入院中のサービス

これに関しては、アメリカはわからないので、置いておいて、香港と日本を比較すると、特に大きな差は感じなかったというのが感想です。

香港の中でも、私立病院と公立病院でサービス内容は、全く異なるらしく、私立では「サービスも丁寧、★ホテル★のような入院生活を送れる」らしいのですが、公立でも特段不満はなかったです。英語も通じますし、希望すれば、日本語通訳も付きます。食事が質素ではありましたが、中華粥とかなので、全く抵抗感なくおいしくいただけました。ベッドからシャワールームやトイレも近いし、綺麗なので、不満なし。

ただし、、、不満がなかったその背景には、実は、ひとえに、堅実なこれらのサービスを超低額で受けられるという香港特殊の事情があるかもしれません。というわけで、最後に、出産にかかる費用面から三都市を比較します。

その3)出産にかかる費用

アメリカは、保険でカバーされるかどうかで、その値段に大きな差が生じます。もちろん、日本と同じ、選ぶ病院によっても値段は違います。保険適用がなければ、出産に1万米ドル以上がかかるのも珍しくないとか。いずれにせよ、保険を利用するためには、比較的高額な保険に入らなければならず、この点はやはりお金がかかるという印象です。

日本は、これまた病院にもよりますが、どんな病院であれ、国民健康保険に入っていれば、出産育児一時金がもらえますし、さらに各地方自治体からも助成金が出たりします。2009年長女出産時、わたしが住んでいた港区では、出産育児一時金込で上限60万円の助成金が出されていました。とはいえ、出産した病院が、高いことでも有名な病院だったので、結構足が出ましたが。。。4泊の入院やサービスを考えると、これくらいの負担は仕方ないのかなと思います。

ただ、驚くのが香港の公立病院。

おそるべし、5000円で産める場所、香港

香港でも私立の病院は、保険適用前の費用は、50万~150万円程度といわれています。帝王切開等になった場合は、もっとかかるそうです。ただ、丁寧なサービスや、外国語対応がしっかりしていたり、とメリットも大。しかし、多くの日本人が利用する私立病院を選ばす、私が公立病院を選択した理由。それはひとえに、、、費用です。

香港の公立病院。退院時に支払った額は、なんと、350HKD。2015年11月現在、1HKD=16円と考えると、5000円です!!!!!!

香港IDを有していると誰でもこの値段!!!!外国人でも、香港IDさえ有していれば、5000円!何度でもいいます、5000円!!!!!

前述したとおり、分娩やその後の入院に関して、派手さや、特別なサービスはないものの、堅実でしっかりしている印象を受けた香港の公立病院。これを5000円で、しかも、外国人にまで提供しているなんて、香港すごすぎやしませんか

なにがこの香港の超低額医療を支えているのか、非常に興味深いところですが、この点は追い追い調べるとして、費用に関しては、もう手放しでびっくりです。香港。

まとめ

その1)出産方法については、色々な考え方があるかもしれませんが、母親に物理的にも精神的にも選択肢が多く与えられているという意味では、日本よりも、アメリカや香港のほうが妊婦にやさしい気が私はします。無痛分娩を選ぶか、風水で帝王切開を選ぶか、色々な考え方を持つ人たちに対応できる制度というのは大事だと思うからです。

その2)入院については、やっぱり、長くて手厚い日本の入院制度は、母体の回復、生まれたばかりの新生児の経過観察、母業への慣れ、といった観点から、お母さんにやさしいかと思います。日本の病院食は結構おいしいですし。

ただ、、、、

その3)費用に関して、もうこればっかりは、香港に軍配です。日本の病院と遜色ないくらいきちんとオペレーションがなされている病院で産むのに、たったの5000円。もう一回だけいわせてください。5000円!!!!ああ、びっくりした。

香港公立病院での出産記録はまた別途詳しく記事にしたいと思います。今日はこの辺で。

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