◎勝手に検証◎日本は、妊婦にやさしい国?それとも厳しい国?~職場編~

20151129_043114038_iOSはじめに

先月香港で第二子を出産しました。第一子は、東京で妊娠出産だったのですが、第二子は、ニューヨークで妊娠、妊娠後期に日本に一時帰国、そして香港で出産。はじめての海外妊娠&海外出産で各都市の大きな違いを肌で感じました。

前回に引き続き、三都市での自分自身の経験を比較して、日本は、妊婦に「やさしい」国か、「厳しい」国か、独断と偏見で勝手に検証していきたいと思います。さて今回はいよいよ?職場編

昨今、「マタハラ」(マタニティハラスメント)に関するニュースや記事を目にすることが増えています。そんなニュースを見聞きしていると日本の職場は本当に妊婦にきびしい職場職場が妊婦にやさしいかどうか、に関しては、その職場のルールや、メンバーに大きく左右されるところなのですが、それでもなお、「お国柄」による違いだろうなあというものを肌で感じたので、それを少しでもお伝えできればと思っています。

恥ずかしがり屋の日本人⁉ 

妊娠したときに気になるのが職場の反応、という方は多いのではないでしょうか。

大きなプロジェクトの最中だったり、産休中の人がほかにいたり、、、妊娠というのは、奇跡的で本当に素晴らしいことではありますが、かならずしも本人や職場にとってベストタイミングと感じられないということがあると思います。そんなときは特に、職場への報告は、心に重くのしかかることがあるのではないでしょうか。そのために、そんな妊婦にとって、妊娠を職場の人に報告した時の相手の第一声というのは、記憶に残るものです。そして、この点が、アメリカでのアメリカ人の反応と、日本での日本人の反応は、だいぶ異なる印象を受けました。

アメリカ人の場合は、私の出会った人100%、その第一声は、Congratulations!(おめでとう!)でした。職場で妊娠を告げた相手からの反応は必ず、でした。これには驚きました。

というのも、日本人の場合、友人の体験談を聞いても、職場では、どちらかというと、特に男性の場合、第一声が「おめでとう」といった反応もあるけれども、「了解です」といった反応が多いよう。

おそらくそういった状況は、どこの会社も同じで、だからこそ、マネージャー向のハウツー本のようなものには、「部下の妊娠をきいたときは、おめでとうといいましょう」という記載がよくあるのではないでしょうか?

日本人の方が意地悪だ、とか、そういったことを言いたいわけでは決してありません。皆それぞれ温かく報告を聞いてくださっているのだと思いますが、職場で、妊娠について「おめでとう」ということに、どこか恥ずかしいという気持ち、はにかむ気持ちが漂っている、そんな印象を受けるのです。

ただ、これって、とても勿体ないことだと私は思います。本当は好きなのに、好きと言えない、こじらせ男子をドラマでみているときのような歯がゆさを感じてしまいます。最初の第一声が、おめでとう、となるだけで(たとえ、その、おめでとう、はうわべだけのものであったとしても)、センシティブになっている多くの妊婦の気持ちはすっと軽くなりますし、何かと体がつらい妊娠中&出産後の仕事へのモチベーションの維持にもつながると思うんです。

そして何よりも、実際はアメリカの職場よりよっぽど妊婦にやさしいのが日本の職場、だからこそ「おめでとう」の一言で、妊婦のモチベーションを下げてしまうのはもったいない!んです。

笑顔でおめでとう、でも仕事じゃ容赦ないアメリカ

反射的に笑顔で「おめでとう」が出るアメリカ人、実は、仕事の面では、妊婦だろうがなんだろうが容赦なし、という印象です。一方で日本の会社や日本人の方が、「妊婦」への「配慮」が強く、ときに過剰にはたらくことも。

わたしがこれまで接した日本の会社の上司は誰もが、妊娠中ということで体調を気遣って下さいましたし、ときに、仕事が負担になりすぎないように仕事量を調整しようとしてくださったりしました。これは私だけではなく、私の周囲で、日本企業に勤める女性から、よく聞く話です。つわり等の体調不良があれば、特別な休暇を取得できるなど、会社の制度上も妊婦を保護するものが整っている会社が多いのではないでしょうか。

かたやアメリカ。私の受けた印象も、そして友人から聞く話でも、妊婦だろうがなんだろうが関係なし。結果、成果を出し続けるのが当然です。体調不良は妊婦だろうが、妊婦じゃなかろうが、だれにでも起こりうる話であり、そういった体調不良も含めてマネージし、成果をだすことが当然求められているのです。

聞いた話をいくつかあげると、例えば、仕事中、妊娠中で体調がすぐれなくて、、、と言い訳をしようとしたら、上司から、”It is your business(それは君の問題であって、私の問題ではない)”と言われた、とか。すごいケースでは、妊婦=仕事のパフォーマンスが落ちるというイメージを持たれる可能性があるから、妊娠していることを隠している、とか。

(Sex and the Cityの主要人物のひとり、ミランダ(弁護士)が、職場で妊婦であることがばれないような服をきている、というエピソードがあり、ドラマの中での話だと思っていたら、普通にそんなことがあるんだと知りびっくり!)

隠すまではしなくとも、「妊娠は仕事には関係ないから、仕事に関係しない以上あえて自分から言う必要なし」というのが、多くの人の共通見解だったような気がします。

日本の産前産後休暇&育休は超長いし超手厚い

日本の職場が、「守られている」と特に感じるのは、産休&育休の長さと手厚さを、外国人の友人に話すとき。

日本の場合、法律で、産前&産後合わせて14週の産休を取ることができることになっています。産休中、会社に給与の支払義務はない(はず)ですが、有給としている会社も多いと聞きますし、健康保険に加入している場合は出産手当金も支給されます。育休中も1年間は育児休業給付金が出ます。

会社によっては、こどもが満2歳あるいは満3歳になるまで育休がとれるなんてこともあるのでは?少なくとも多くのお母さんが、1年間育休を使うということが多いのではないでしょうか。

社会福祉が充実しているヨーロッパから来ている人と話すときは、そっかー、という反応で済むことはありますが、少なくとも、香港&アメリカで働くママに、日本のこの制度の話をすると、必ず驚かれます。そして、ときに、半分冗談で切れられました。笑。は⁉なにそれ?わたしたちは、産後2ヶ月で戻らなきゃいけないのよーー!(怒)と。

NYの場合は、たしか特定の法律はなく、会社ごとに産休育休(maternity leaveといいます)の期間が定められています。そして、産休育休は2ヶ月という会社が多く、さらに無給ということが多。なので、こどもと一緒にいたいから、会社に復職するのをあきらめ会社を辞める、という話をよく聞きました。

香港でも容赦ないです。香港は法律上いちおう10週間の有給の産休&育休が定められています。ただ、これは、産休&育休をあわせたもので、法令上、予定日の2-4週間前からしかとることができません(日本は、予定日6週間前)。すなわち、産後6-8週間たてば、法令上のマタニティーリーブの権利は失われ、復職です。会社とうまく交渉して7か月休んだという、ワーキングマザーと話をしましたが、もちろんその特別な期間は、無給で政府からの補助金もなし。

この点、日本の制度は本当にすごいと思うのです。逆に、早く復職しすぎると、こどもがかわいそうだとか、色々なことを言われることもありますが、休もうと思えば1年以上も補助金つきで休めるなんてすごいんです

なぜかパパ育休の「風」が吹くアメリカ

日本でも最近、男性の育児休暇取得について議論がなされることが多いと思いますが、なぜか、ニューヨークでもパパの育休Paternity Leaveについてよく耳にしました。勤務先の法律事務所でも、Paternity Leaveをとりましょう、ということが大々的に謳われていて、あちらこちらで、今度同じプロジェクトをやっている同僚がパタニティリーブを8週間とるらしい、とか、4週間とる、とか聞きました。

「やる」と決めたら、積極的にやるニューヨークらしいなあとその時は思ったもんです。たとえば、ダイバーシティ―を進める、と決めれば、まずは形だけでもどんどん進めていって、「弊社では、有色人種が〇%を超えています!」みたいなことを、大々的に掲げるアメリカの組織。組織にとって得だと判断したからこそ、導入した制度。一度導入した以上、使用実績を上げて、周囲にどんどんアピールすることが大事であると考える、アメリカ組織の典型的な動き(?)が、パパ育休/パタニティリーブについても感じました。

一方で、日本でも男性の育児休業について、大企業を中心に制度が整いつつあると思います。が、その取得率は、制度導入率と比較して非常に低いものなのではないでしょうか。制度があるのに、周囲の空気的にとれないということがままあるのではないかと推測します。せっかく導入された制度であっても、それが浸透するまでには時間がかかる、典型的な日本の組織の動きだなあと個人的には思います。

多少強引なかんじがあっても、いちど組織として制度導入を決定したのであれば、それを積極的に活用した方が、むしろ、組織内での評価もあがる、というアメリカのような考え方はわたしは結構好きです。

これに関して、ひとつエピソードが。

今回の出産に際し、パートナーは1週間の育休を取得しました。アメリカ系の会社に勤めている彼は、「会社でPaternity leaveの制度ができて、利用するのが奨励されているし、とるよー」と。

そして彼の育休明けの日。パートナーの会社で家族イベントがあったので、それに参加し、たまたま彼の上司にご挨拶するチャンスがありました。そして、「育休取得を認めてくださり、ありがとうございました、とても助かりました」といったところ、え!?という一瞬戸惑いの表情をみせつつ、「彼の権利だから当然でしょう~!」と、さらりと爽やかな風を吹かせながら、笑顔でおっしゃってくださいました。

かっこいいいいいいいいいい!

いや、その人は、見た目もたしかにかっこよく、しかも、ブリティッシュアクセントで言われちゃうと、それだけでキュンキュンだったのも正直なところですが(笑)、権利なんだから、取得できるのは当然でしょうという、その反応が、わたしにはとってもフレッシュで、むちゃくちゃかっこよかったです。さすが、有給はきちんと消化する文化!

退院後の1週間は、母親にとって一番つらいタイミング。体力も回復していないし、母乳も思う通り出ていないし、数時間おきの授乳に慣れていないし。パートナーが仕事にいっていたら、夜中におこしちゃ悪いと思って、深夜に泣いている赤ん坊をあやすのをお願いするということもなかなか気が引けます。その一番大変なタイミングで仕事を安んで家にいてくれると、たった1回のオムツ替えでも代わってくれるだけありがたいです。また精神的にも、マタニティブルーに陥りやすい時期に、家にいてくれるというのは、プライスレス。

勤め先に、制度があるなら、どんどん使ってみましょうよ、日本の男性のみなさん!!!そしてその周囲の方々も、爽やかな風を吹かせながら、「そんなの当然とっていいでしょ~」と笑顔で言っちゃいましょう!それだけで、同僚女性からの評価はいっきにあがってしまうかもしれません。

結論

さて、日本は妊婦にやさしい国?!~職場編~について、私が、マタハラとかそういったことからは無縁の恵まれた環境にいたからかもしれませんが、個人的には、その充実した制度を考えると、むちゃくちゃやさしいなあと思います。

アメリカや香港のような、ザ・資本主義社会では、「働かざるもの、食うべからず」という言葉が見事に当てはまる。笑顔で「あなたの成功を祈っているよ」といいつつ、首を切る社会ですから、妊婦だろうが、なんだろうが、きちんと成果を出してくださいというスタンスは、日本の社会に比べるとけっこう厳しい。だけど、「おめでとう」とか、ある制度は当然使うよね、むしろ積極的に使うよね、というか、使った方が評価もあがるよね、という空気は、とっても「やさしい」と感じました。

一方で、日本は、制度はあるけど、使えない、とか、制度があるけど、まわりに遠慮してしまう、とか、見えない鎖に縛られていることも多くてもったいない。まずは、「妊娠おめでとう」という第一声を発するところから変えていけるといいんじゃないかなあと思います。

もちろん、非正規雇用の場合には、なかなか充実した制度の恩恵を受けられないとか、マタハラとか、そういった問題は別途あるとは思いますが、私や周囲の経験に基づき独断と偏見で判断すれば、、、

日本の職場は比較的妊婦に「やさしい」!

でも、まだまだ改善の余地はある。

妊婦にやさしい職場をもつ先進国として世界に誇れるように、さらによくするためには、まずは笑顔と「おめでとう」からはじめていきませんか?

2 Comments on “◎勝手に検証◎日本は、妊婦にやさしい国?それとも厳しい国?~職場編~

  1. Pingback: 「アピール」でも男性の育休取得推進はやっぱり必要だと思います~夫が最近育休をとりましたin 香港~ – 海外でもワーママ生活

  2. はじめまして。
    現在妊娠中、マタハラと騒ぐほどではないですが、職場の理解が得られないことに悩んでいる際にこちらの記事を拝見しました。
    純粋な比較論であって、本筋ではないこと、理解したうえでのコメントですが、マタハラにあっている友人も多い中で、無邪気な記事だなと思ってしまいました。

    恵まれた環境ということもあり、と断っていらっしゃいますが、恵まれていることを自覚していらっしゃるのであれば、「女は甘えている」ととられかねない発言を無邪気にしてほしくなかったな、と感じました。
    あなたやあなたのまわりの方は恵まれていたかもしれませんし、それは素晴らしいことだと思いますが、マタハラ、現実にたくさんあって、でもセクハラやパワハラと同じように声を上げにくい中で抗議をしたり、腹立ちつつも耐えて乗り切っている人が多くいることも理解していただけるとうれしいです。

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