Posted on 6月 17, 2018
ツレが主夫になりまして(2)
ツレが仕事をやめました。第一回は思わぬ反響を頂き大変ありがたかったです。あまりない事例かなあと思ってましたが、意外と同様の経験をした人多数ということでそれも新たな発見でした。パートナーが主夫になったことに伴って気づいたこと、第二弾を書いてみたいと思います。
「仕事を辞めた」に対する反応
何よりおもしろいなと思ったのが、「仕事をやめた」と夫が皆につげるときの反応が日本人とそうでない人でだいぶ違うことでした。
夫曰く、「仕事やめたんですよ」と伝えると、多くの日本人が反応に困るかんじだったとのこと。無言か、「あ、そうなんですか、、、、」と。
私も「ダンナ、仕事やめて今主夫やってるんですよー」というと、日本企業に勤める日本人の多くの方の最初の反応は、すこし言葉につまりながらの「。。。え、そうなの?!」でした。わたしとしては、「あれ、別に楽しい話題なのだけど、間違えた話題だしちゃった?」と思って話したことを後悔したりしてました。
一方で、日本人でも外資系や新興日系企業に勤める人たちや、欧米の人たちの反応は、「おおお!!!おめでとう!!!!!」といった超前向き反応。次々と握手しながら「おめでとう!」とか、「よくやった!」とか、「うらやましいぜ」という反応なのでした。
この違いは如実ですごいおもしろかった。
転職・退職=良いこと?悪いこと?
おそらく、多くの日本人の潜在的な認識として未だに「転職・退職」=通常から外れること→「大丈夫なのか?」→あまり触れちゃいけない話題の可能性高い→言葉に詰まる、ということになるのではないかと想像します。
一方で、転職・退職が身近にある世界に生きている人たちは、転職・退職→新たな人生のステージへの挑戦→おめでとう!、ということになるのではないでしょうか。
語弊を恐れずに言えば、Traditionalな日本人にとって転職・退職は比較的「負」のイメージであるのに対して、欧米や転職・退職・解雇が当たり前の欧米人や金融マン、それから若い世代にとっては「明」のイメージであるように感じます。それが、「退職宣言」の後の反応の違いにあらわれていた気がします。
ツレが主夫になって気づいた事象その2でした。
あとがき(蛇足ですが):終身雇用は悪くない、けど、それがすべてではない。
最近、伝統的な日本企業で勤める知り合いが転職をするというのを聞きまして、たまたま退職直前に話をするチャンスがありました。開口一番「そういえば、退職されるんですよね、おめでとうございます!!!Excitingですねー♪」と話したところ、彼の第一声は、「若い人はそういってくれるんだよね」でした。
私「え、そうなんですか」。彼「特に上の方の世代はね、いろいろ言われたよー」と。
終身雇用を前提としている日本企業は、いい面もあるし、悪い面もあるでしょう。そんな議論は官民ともに、学者たちも交えていくらでもしてますからここでは触れませんが、やはり、日本の終身雇用「神話」は根が深いんだな、と夫の退職を経た周囲の方々の反応の違いで実感。
日本はもはや終身雇用が前提の社会とは言い難いかもしれませんが、それでもまだまだ労働者保護は手厚く、終身雇用が前提となって人事組織制度を構築している日本企業が多いと考えます。そんな企業では、まだもらってもいない数カ月後の給料を家の財産管理計画で考慮に入れることができる、それはとても幸せな環境で、そこから生まれる会社への忠誠心や安心感もあるのは事実。皆が長く勤める前提だから、会社も多くの社員に平等にトレーニングの機会を与えて投資する。だから、組織の外にあえて出ようとする人は、「変わり者」であり、「はみ出し者」であり時として「裏切り者」と考える人がまだまだ多いのかもしれません。
でも、それってやっぱりちょっとちがうはず。
多くの日本人にとってやっぱり転職・退職・主夫って珍しい。そんな、「人と違うこと」をする人に、おお!頑張れ!やってみろ!と自然にいえる力がもう少し日本の文化に根付けばいいなあと思ったのでした。